今回は、プロデルで作ったプログラムを他の人が利用できるようにする方法をご紹介します。
自分が作ったプログラムを、他の人に使ってもらおう
自分が便利だ、と思って作ったプログラムは、きっと他の人にも役立つものであるはずです。プロデルで便利なソフトが出来上がったら、インターネットに公開しましょう。
プロデルで作ったプログラムを動かすには、作ったプログラムとプロデル本体が必要ですが、他の人のPCにプロデルがインストールされているとは限りません。プロデルがないPCでも、作ったプログラムが動くようにするには「実行可能ファイル」というファイル形式を作って、それを配布すれば動きます。
なお、プロデルは商用利用も可能です。開発したアプリは、AS-ISの条件のもとライセンスフリーで利用・公開できます。
実行可能ファイルとは
実行可能ファイルとは、プロデルがインストールされていない環境でもプログラムを実行できるようにしたファイルです。拡張子として.exeが付くものを指します。
実行可能ファイルの種類
実行可能ファイルには、見た目の違いとして2種類あります。
- デスクトップアプリ
- コンソールアプリ
デスクトップアプリとは、Windowsの画面上でウィンドウが表示されるGUIのアプリです。ボタンやテキストボックス、キャンバスなどを使うプログラムは「デスクトップアプリ」として実行可能ファイルを作成します。
コンソールアプリとは、ターミナル(コマンドプロンプトやPowerShell)上で動くCUIのアプリです。主に計算処理などの処理結果だけを表示するプログラムは「コンソールアプリ」として実行可能ファイルを作成します。
実行可能ファイルの実行方法
一方で実行可能ファイルには、次の実行方法があります。
- ランタイム環境版 → プロデルデザイナと同じ
- コンパイル済み版 → 動作が高速
「ランタイム環境版」は、プロデルの実行環境とプログラムを同梱したexeファイルを作成します。ランタイム環境では、exeファイルを実行した利用者のPCで起動した都度、解析と実行を行います。インタプリタとして動作するため低速ですが、プロデルデザイナ上で実行する場合と同じ実行方法なので、トラブルの心配がありません。
「コンパイル済み版」は、実行可能ファイルの作成時に、予めプログラムを解析して、中間言語(バイトコード,仮想機械語)にコンパイルしたものを実行する実行方法です。中間言語で実行するため、動作がとても高速です。ただしプロデルデザイナとは異なる実行方法のため、場合によってはランタイム版と挙動が違うなどのトラブルが起きる場合があります。その場合はランタイム環境版で作成してください。
実行可能ファイルの作成方法
実行可能ファイルの作成手段には「プロデルデザイナ」と「プロデルコンパイラ」の2つのツールがあります。
プロデルデザイナの「実行可能ファイルの作成」
プロデルデザイナでは、「ファイル」メニューの「実行可能ファイルの作成」から作成できます。
「実行可能ファイルの作成」では、次のように様々な形式の実行可能ファイルを作成できます。通常は「デスクトップアプリ(ランタイム環境)」を選べば問題ありません。
プロデルコンパイラ(rdrc.exe)を使う
プロデルのCUIツールであるプロデルコンパイラ(rdrc.exe)を使う方法です。このツールは、実行可能ファイルを作成するためのツールで、コンパイル済みまたはランタイム環境のどちらの種類の実行可能ファイルが作成できます。プロデルコンパイラは、プロデルに同梱されています。
プロデルコンパイラの詳しい使い方は、次のように実行します。
cd %HOMEPATH%\AppData\Local\Programs\Produire
rdrc /?
例えば、myapp.rdrをコンパイル済み実行可能ファイルとして作成するにはコマンドプロンプトで次のように実行します。
cd %HOMEPATH%\AppData\Local\Programs\Produire
rdrc myapp.rdr
また、Windowsデスクトップアプリをランタイム環境の実行可能ファイルとして作成するには次のように実行します。
rdrc myapp.rdr /runtime /desktop
アイコンを変える
実行可能ファイルには、ソフトを表すアイコンを付けられます。特に指定がなければプロデルの実行可能ファイルのアイコンが使われますが、自分で作ったアイコンに差し替えることもできます。
アイコンは、.icoという特別な画像形式で作成します。@icon変換というフリーソフトを使うとpng形式から.icoファイルを作成できます。そのほかの画像ソフトでも対応している場合があります。
単独プログラムの場合
rdrファイルと同じ名前のicoファイルを作成します。
例えば「マイアプリ.rdr」のアイコンは「マイアプリ.ico」というファイル名で同じフォルダに置きます。
プロジェクトモードの場合
プロジェクトファイルでは、「詳細設定」でアイコンを設定できます。
プロデルコンパイラの場合
rdrc.exeでは次のように指定します。
rdrc myapp.rdr /desktop /icon documnent.ico
バージョン情報を付与しよう
実行可能ファイルには、メタ情報として、プログラムの名前や、著作権、バージョン番号などの情報を付与できます。
単独プログラムの場合(プリプロセッサ)
プリプロセッサを使ってバージョン情報に記載する内容を指定できます。
※製品名 私のアプリ
※著作権 Copyright(C) Mine 2023 All rights Reserved.
※バージョン 1.0.0.0
プロジェクトモードの場合
プロジェクトを作成することでより詳細の情報を指定することもできます。
プロデルコンパイラの場合
プロデルコンパイラでは次のように指定します。
rdrc myapp.rdr /version 1.0.0.0
画像などの素材を添付するには
実行可能ファイルには、プログラム中で使用する画像などの素材を添付できます。素材を添付すると、実行可能ファイルの中に素材が同梱されるので、配布するときに画像などがバラバラにならず、取り扱いが簡単になります。
プロデルデザイナで素材を指定する
素材を指定するには、プロデルデザイナの「アウトライン」のメニューで「項目の追加」→「素材ファイル」を選択して、素材にするファイルを選択します。
素材を追加すると次のようなプログラムが挿入されます。
素材として「images\title.png」を利用する
同梱された素材をプログラムで利用するには「素材リスト」種類の「取得する」手順を使って取得できます。取得する名前としてファイル名を指定します。
ピクチャー1の画像は、素材リストから「title.png」を画像として取得したもの
大規模なアプリを作る時には (プロジェクトの作成方法)
大規模なアプリを作ると、一つのプロデルファイルではプログラムが長くなり、扱いづらくなります。アプリのプログラムが大きくなってきた時には、プロジェクトを作成することで大規模なプログラムの作成が便利なります。
プロデルデザイナでは、プロジェクトモードを使うことで、複数のプロデルファイルから一つの実行可能ファイルを作成することができます。
プロジェクトを作成するには「新規作成」から「プロジェクト」を選択します。
そしてプロジェクトファイルの場所を指定します。
プロジェクトにプロデルファイルを追加するには「アウトライン」の「プロジェクト」で「新規ファイルを追加」を選択します。
最初に実行するプロデルファイルは、太字で表示されます。
プロジェクトに追加されたプログラムは、まるで全体で一つのプログラムであるかように取り扱われます。プロジェクト内の他のプロデルファイルにある手順や種類を使うこともできます。
アプリを公開しよう
作成したアプリを公開しましょう。
公開に必要なもの
Windowsのフリーソフトでは、必要なファイルをzip形式など書庫ファイルにまとめて公開することが一般的です。書庫ファイルには、主に次のようなファイルを同梱します。
- 作成した実行可能ファイル
- その他にアプリに必要なデータファイル
- 説明を書いたテキストファイル (readme.txtまたはreadme.mdなど)
- 利用許諾契約書(ライセンス)
またzipファイルではなく、インストーラ形式で提供する場合もあります。インストーラ形式ではスタートアップにアプリのショートカットを登録したりできるなど、より細かなインストール機能を用意できます。インストーラを作成するためのソフトには、Inno SetupやWiX Toolsetが有名です。どちらも作成方法が難しいところがありますが、立派なインストーラを作ることができます。
公開場所
アプリの公開方法は次のような場所が挙げられます。
- 自分のブログ・ホームページにアップする
- Vectorに公開する
- プロデル プログラム掲示板にアップする
- GitHubに公開する
他にもSNSや同人誌即売サイトなどもあるかと思います。
自分のブログ・ホームページにアップする
ソフト配布用のブログやホームページを設置して、そこで自作ソフトを配布する方法です。ブログは無料ですぐに開設できるサービスがあります。ブログには、ソフトの説明文を書いて、スクリーンショット画像を公開すれば、ダウンロードしてもらえると思います。
また、xreaというサービスで無料でWordPressやホームページを設置できます。また月々数百円程度から本格的なホームページを設置するサービスも多数あります。
Vectorに公開する
Vectorというソフトウェアの公開サイトに自作ソフトを掲載して配布する方法です。ソフト登録ページにて、ソフトの公開申請をすれば、無料で自作ソフトを公開できます。ウィルスチェックなど簡単なチェックだけで気軽に投稿できます。プロデルで作られたソフトウェアもいくつか公開されていますので参考になると思います。
プロデル プログラム掲示板にアップする
プロデル公式サイトにある「プログラム掲示板」にプログラムを公開する方法です。この掲示板ではコメント投稿もできるので、作ったプログラムを公開することで、プロデルユーザと情報交換できます。簡単なプログラムでも構いません。プログラム投稿数が少ないので、ぜひ投稿お待ちしています。
GitHubに公開する
ソースコードを共有できるサイト(GitHub)に公開する方法です。プロデルのプログラムもGitHubに公開できますので、使う人が自由に改造して使ってほしいプログラムは、GitHubにアップするとよいでしょう。プロデルではプラグインやツールのソースコードをGitHubに公開しています。
アプリ配布時の注意点
動作テストしましょう
アプリを公開するときには、アプリが正しく起動するか、用意した機能が正しく動作するかどうか、不足しているファイルがないかどうか、などを利用者の視点で確認しましょう。
また、同じWindowsのバージョンでも、利用するPCによってはエラーが表示されたり正しく動作しないこともあります。可能であれば、複数のPCや仮想PCソフトに入れたOSで動作を試してみることをお勧めします。
他の権利を侵害しないこと
公開するソフトウェアは、他の人が持つ権利を侵害しないように注意してください。例えば、画像や音楽データには、著作権があります。アプリに画像や音楽を利用する場合には、イラストや音楽も自作したものを使ったり、フリー素材となっている利用が自由に許可された画像・音楽を利用したりしましょう。アニメやゲームなどのイラスト、アーティストの楽曲などを権利者の許可なく使用したソフトは公開できません。
ウィルスの作成は厳禁
PCの破壊行為などを行うウィルス(マルウェア,スパイウェア)を作ることは、厳禁です。またプロデルではたとえジョークであっても作ったり他人に配ることは利用規約で禁止されています。プロデルではこのような悪意のあるプログラムを絶対に作成しないでください。不正指令電磁的記録作成罪によって処罰される可能性があります。
個人情報やパスワードには注意を
プログラム中に、個人情報(住所や電話番号)、アカウントのIDやパスワードを直接書かないように注意しましょう。実行可能ファイルを作成すると元のプログラムは復元できませんが、そのバイナリデータにはプログラム中に書いた文字列がそのまま記録されています。解析によってわかってしまう可能性があるので、個人情報やパスワードを削除してください。(なお、プログラム中の注釈(コメント)は作成時に削除されます)
また、ソフトの連絡先を載せる際には、迷惑メールなどが届いてもよい公開専用のメールアドレスを用意して載せておくとよいでしょう。
まとめ
プログラミングでは、作ったソフトを公開して他の人に使ったもらって反応をもらうことも醍醐味の一つです。プロデルでは、プロデルマルシェというサイトでプロデルで作られたソフトウェアを紹介しています。自作ソフトをアップされた際にはぜひご連絡ください。掲載させて頂きます。
※当ブログの記事の著作権はゆうとにあります。プロデルに関係が無い目的で、文章や図表,プログラムを複製, 改変, 移植して掲載することを堅く禁止します