以前Twitterでは告知しておりましたが、.NET Coreで動くプロデルを公開致しました。
.NET Core版プロデルは、今のところコンソールアプリのみとなりますが、LinuxやmacOSでも動作するようになりました。
.NET Core版でも、プロデルで基本的な文法は、同じです。ですので、プロデルを使ったことがあれば、新しい文法を覚える必要はありません。
残念ながら.NET Coreで未対応のウィンドウ部品などGUIの機能については利用できません。以前公開していたWeb版プロデルに近いです。今は、利用できる種類も限られていますが、今後増やしていく予定です。
使い方
まず.NET Core (Runtime)をインストールしてください。
こちらから、.NET Core版プロデルをダウンロードします。
https://sumire.utopiat.net/files/core/
ダウンロードしたファイルを解凍します。
コマンドプロンプトまたはPowerShell、ターミナルを開きます。
cd [解凍したフォルダ]
dotnet ./sumire.dll [プログラム名.rdr]
ダウンロードファイルには、サンプルが用意されています。例えばカレンダー作成のプログラムを実行するには、zipを展開したフォルダで
dotnet ./sumire.dll ./samples/calendar.rdr
と入れます。
以前のSilverlight版をご覧の方は、おわかりかと思いますが、Web版プロデルのサンプルのほとんどを、そのまま修正することなく、実行できます。
開発環境は用意されていません。お使いのテキストエディタをお使いください。Visual Studio Codeがおすすめです。
ファイルの拡張子は、.smrに今後切り替えていきます。その他、.rdrや.プロデルもOKです。
なお、Visual Studioをインストールしている場合には、Nugetのパッケージとしてもダウンロードできます。Nugetで利用する場合には、Visual Studioなどの開発環境でNugetパッケージの管理を起動して「sumire」で検索してください。
https://www.nuget.org/packages/Sumire/
.NET Coreとは?
.NET Coreは、クロスプラットフォームで動作するプログラミング環境です。.NET Coreで作られたアプリは、WindowsだけでなくLinuxやmacOSでも動作します。これまでプロデルが動かなかった環境でも、日本語プログラミングを楽しむことができるようになります。
また.NET Core 2.1では、RaspberryPi 3にも対応しており、Windows PCだけに限らず、今後もいろんな環境で利用できるようになることが期待されます。
スミレ(Sumire)とは?
.NET Core版プロデルには、カタカナで「スミレ(Sumire)」と名付けることにしました。日本で広く見られる花であり、道端にひっそりと咲く姿がとっても印象的です。目立たない所でひっそりと、けどたくましく咲くこの花のように、新しい処理系もあり続けたい。という思いを込めて命名しました。
日本語プログラミング言語に花の名前を付けることには、私自身、かなり抵抗がありました。しかし、多くの方に覚えやすく、コンソール環境でも入力しやすい名前にした方が良いと思い、今回はプロデルの名を使わないことを決心しました。
実は、Sumireの末尾3文字(ire)は、プロデル(Produire)の末尾3文字と同じです。.NET Core版への移植にあたっては、プロデルでの思いを名前にも受け継ぎ、今度こそ、より多くの方に触れてもらえる日本語プログラミング言語になれればと思っています。
ロードマップ?
「プロデル」がデビューしてから10年となりました。この期間では、残念ながらプロデルで大きな結果を残せませんでした。新しい世界はスミレに引き継ぐことになりますが、プロデルでやりたかったこと、その成果が残せるまでは、これからも「プロデル」も開発を続けたいと思っています。
すでに公開しているプロデルの開発は、これまで通りメインで継続していきます。プロデルとスミレは、構文解析や形態素解析、コードモデル(AST)など多くの部分のコードが共通であるため、ライブラリの違いを除けば、ほとんど同時に改良ができます。
プロデルでは、ロジックや文法に未完成な箇所が残っており、これらを完成させることが当面の目標です。Sumireについても実験的な取り組みをいくつ考えていますが、正式版の公開のタイミングなど明確なロードマップは今のところ考えていません。
プロデルとスミレは、完全無報酬で開発しています。書籍の印税はもちろん、広告やコラム執筆による報酬もありません。プロデルを使って頂けることが唯一の報酬です(笑)。それ故、時間が出来たときにコツコツ開発するスタイルです。その分、何かにとらわれることなく、本当の日本語プログラミング言語を極めて、じっくりと完成度を上げていこうと思っています。
最後に
TTSneoを含めると日本語プログラミングに取り込んで、来年で20年となります。今後も引き続きご支援頂けたら幸いです。